Yamaha NS-10Mのラインナップについて詳しく解説します(購入時に必見)

  • 2020年4月28日
  • 2021年3月13日
  • 機材

NS-10M には数多くのモデル違いがあり、その種類の多さのわりに外見とスペックが似通っています。ここではそれらを整理する意味で、どのような外見的・性能的な違いがあるのかについてまとめてみました。

本記事では


  • NS-10Mのモデル別スペック一覧
  • 各モデルの特徴解説
  • 購入時のチェックポイント
  • まとめ

の順に詳しく解説させていただきます。

なお、スタジオモニター用途としての NS-10M の強みや特徴に関しては、以下の記事も併せてご参照くださいませ。

参考:【持ってないと損する】Yamaha NS-10mの凄さを詳しく解説します
参考: スタジオモニターにサブウーファーは必要か?詳しく解説します

NS-10MM / NS-10MF / NS-10MMT / NS-10MMS はオリジナルの NS-10m と外形と用途が根本的に異なるのでこの記事では取り扱いません。

NS-10Mのモデル別スペック一覧

モデル別スペック一覧

Yamaha公式サイトにあるマニュアルを基に作成しました。6種類ありますので、一覧を二つに分けてあります。

一覧①

  NS-10M NS-10M PRO NS-10M STUDIO
リリース 1978年 1987年 1987年
ウーハー JA1801
(18cm コーン)
JA1801
(18cm コーン)
JA1801
(18cm コーン)
ツイーター JA0518
(3.5cm ソフトドーム)
JA0518A
(3.5cm ソフトドーム)
JA0518A
(3.5cm ソフトドーム)
クロスオーバー 2kHz(12dB/Oct) 2kHz(12dB/Oct) 2kHz(12dB/Oct)
再生周波数帯域 60Hz – 20Khz 60Hz – 20Khz 60Hz – 20Khz
インピーダンス
定格入力 25W 60W 60W
最大入力 50W 120W 120W
SPL 90 dB/m-W 90 dB/m-W 90 dB/m-W
寸法(HWD) 382 x 215 x 199mm 381.5 x 215 x 202mm 381.5 x 215 x 197.5mm
重量 6.0kg 6.0kg 6.3kg
配置 タテ置き タテ置き ヨコ置き
方式 密閉型 密閉型 密閉型
備考 サランネット付属 サランネット付属  

一覧②

  NS-10MC NS-10MX NS-10MT
リリース 1987年 1993年 1995年
ウーハー JA1801
(18cm コーン)
18cm cone woofer 18cm cone woofer
ツイーター JA0518A
(3.5cm ソフトドーム)
3.5cm dome tweeter 3cm dome tweeter
クロスオーバー 2kHz(12dB/Oct) 2kHz(12dB/Oct) 2kHz(12dB/Oct)
再生周波数帯域 60Hz – 20Khz 60Hz – 20Khz 43Hz – 30Khz
インピーダンス
定格入力 60W 60W 60W
最大入力 120W 120W 180W
SPL 90 dB/m-W 90 dB/m-W 90 dB/m-W
寸法(HWD) 382 x 215 x 200.5mm 382 x 215 x 199mm 382 x 215 x 255mm
重量 6.5kg 7.0kg 7.3kg
配置 ヨコ置き タテ置き タテ置き
方式 密閉型 密閉型 バスレフ型
備考 サランネット付属 サランネット付属 サランネット付属

各モデルの特徴解説

NS-10M

外見的特徴

タテ置きで、サランネット固定のための孔が4か所フロント四隅にあります。

小ぶりで本棚や壁際などでの使用を想定(※)しているいわゆるブックシェルフ型ともいわれますが、今の小型ニアフィールドと比較すると結構大きいです。スタジオではコンソール上に平置きで用いられることが多いモデルです。

(※)本機はもともとホームオーディオ用途を想定して開発されていました。

音響的特徴

きつい中高音域で知られ、対応策としてティッシュペーパーでツイーターを覆い遮蔽物としたのは有名な話です。また再生帯域下限は 85Hz でもっともローが薄いモデルでもあるため、低音不足を補うため YST-SW100 のサブウーハーの併用が公式では推奨されていました。これらの周波数特性の偏りが、NS-10m の評価が分かれる大きな要因であったとみられています。

一方でこの欠けたローエンドは、ミキシングの際には必ずしもハンディキャップとはならない面もあったようです。

NS-10M PRO / NS-10M Studio / NS-10MC

外見的特徴

NS-10M Pro / NS-10M Studio / NS-10MC の3種のモデルは、カタログスペック上の音響的特性がだいたい同じであるため、一まとめとしました。

外見はオリジナルの MS-10M と似ていますが、ツイーターの型が違います。また Studio のみサランネット固定用の孔がありません。

音響的特徴

オリジナルの NS-10M がスタジオ用途として予想外のヒットとなったため、問題点であるきつめの中高音域、薄めのローエンドを改善したモデルが9年後の1987年にリリースされることになりました。それがこれら3つのモデルです。

サウンド的にもバランスが取れていて、このモデルを悪く言うユーザーの話は(私の知る限りは)あまり聞いたことがありません。なので MS-10M を評価しないユーザーは特にオリジナルの NS-10M に限っての話ではないかと考えられます。

NS-10MC のみシーリングマウント金具が装着可能で、専用の孔がエンクロージャーの上部にあります。他これら3種の違いは、タテ置きかヨコ置きか、サランネット付属の有無だけです。

NS-10MX

外見的特徴

ツイーターのフロントグリル(保護用の金網)が無く、むき出しになっていることが他のモデルとの大きな違いです。

音響的特徴

ユニットに防磁保護がされノイズに強くなりました。

NS-10M シリーズの頂点に位置する本機ですが、1987年以前のモデルほど海外では知られておらず、結果として世界的な普及はなかったようです。

音質的には NS-10M Pro 等の1987年リリースの3モデルをややマイルドにしたものであるようです。

NS-10MT

外見的特徴

バスレフ方式の孔がフロントにある点、もう一つはツイーターが中央に位置している点の2点が他モデルとの大きな違いです。

音響的特徴

バスレフ方式は低音域がこもりやすいという難点が見受けられますが、応答速度の早い NS-10MT のウーハーでは、それはあまり問題とはならなかったようです。

今までの 60Hz から 43Hz まで再生低音域が延びることになったため、サブウーハーなしでもローエンドのチェックが容易になりました。

とはいえ NS-10MT とそれ以外のモデルを比較試聴したこちらのブログによると、実際はそこまでの大きな音質的な違いは見受けられないようです。

【バスレフ方式とは?】

『バスレフ型スピーカーは、スピーカーユニットの背後から出る音を利用して低音を増強しようとする方法です。背後から出る音を、反転させて前面に押し出すようになることから、位相反転型スピーカーともいいますが、一般的には低音を反転されるという意味でしょう、バス・レフレックス方式と名づけられ略してバスレフ型と言われています。』

引用元:http://diy-sound.net/archives/70

購入時のチェックポイント

ここでは、私が中古市場で NS-10M を検討する際にチェックしているポイントをご説明いたします。

エンクロージャーの傷み

NS-10M は作りがシンプルかつそこそこ堅牢で、通常スタジオに据え置いて使用している限り本体が傷だらけになることはありません。

まれに中古市場で痛みのある個体が見受けられますが、けっこう荒く使用した結果だと思われますので、ユニットや各部の状態も推して知るべしです。

こういった個体は、特別な事情がないかぎり避けたほうが無難です。

ペアのチェック

弊スタジオのNS-10M Studio / 左右同じシリアルです

NS-10Mは、後期モデルの NS-10MT 以外はペアで出荷されています。なので本体背面にあるシリアルナンバーが左右とも同じであるかを確認しましょう。

ユニットの状態

可能ならユニットの交換履歴もチェックしたいところですが、それは現オーナーが把握しておればの話になります。

もし一度も交換がない場合、使用開始から少なくとも20年以上は経過していることになるのでユニットの経年劣化は気になるところです。

またウーハーは経年で黄ばみやすい傾向にあるので、一応一つの判断材料にはなるかと思います。

ユニットがブロウしたら・・・

ユニットがブロウしたら、残念ですが左右同時に交換するのがセオリーです。ネットオークションでたまにみる新品ユニットは、足元をみて高値で出品されていますが、今後の耐久性を考慮するとそっちのほうが安くつく可能性が高いです

難しい場合、中古市場からスペア機を入手するかユニット取り用の個体を入手することになります。その際、上にあるモデル別スペック一覧をご参照いただければと思います。

またブロウした原因はできるだけ究明し、対応策は施しておきましょう。

まとめ

NS-10M の開発ヒストリーはざっくりいえば


  • 1978年にオリジナル NS-10M リリース
  • 1987年にブラッシュアップした Pro / Studio /MCをリリース
  • 1993年に再度ブラッシュアップしたMXをリリース
  • 1995年にバスレフ方式のMTをリリース

という流れになります。
どれがいいか迷ってしまう場合、私の主観による独断と偏見でいわせていただければ

Pro / Studio / MC > NS-10M > MX > MT

という序列になります。

1987年組の3モデルであればどれでも OK ですが、限られたスペースであればヨコ置きの方がパノラマのチェックに有利であろうという点、またモニタリング用途にサランネットは不要という観点から、個人的には Studio がイチ推しという結論にさせて頂きました。

きつめの中高音域、薄めの低音域を承知の上であればオリジナルの NS-10M ももちろん候補になりうるでしょう。

皆さんはどれがお気に召しましたでしょうか?