U-He Diva の真面目なレビュー(根強い評価の理由を徹底チェックしてみた)

  • 2020年6月29日
  • 2021年5月24日
  • 機材

2020年の1月にバージョン1.4.4 になった U-He Diva。

Serum や Sylenth1 程ではないにしろ、ソフトシンセメーカーとしてはある程度の知名度を誇る U-He(ユーヒ)を代表するソフトシンセの一つです。

ネット記事や Youtube の「イチ押しソフトシンセ Best5」のようなランキングコンテンツで頻繁に取り上げられていることから、一定のユーザーから根強い支持を得ていることが伺えます。

My Favorite Plugins

Tiesto 主催のレーベル Musical Freedom でリリースを重ねる Jonas Aden も Diva を強く推す

上の動画のようにヘビーユーザーは口をそろえて「Diva は持っておいたほうが良いよ」と強く推しているのが印象的。

他のソフトシンセにはない一度使ったものを虜にする魅力が Diva にはあるようで、事実今までにメジャーなネット媒体・プラグイン販売サイト・音楽雑誌等のアワードを累計して17受賞しており、最新の「KVR Audio Readers’ Choice Awards 2019」はなんと去年2019年のものです(Diva は2012年に発売)。

決して新しいとは言えないこのソフトシンセが、なぜ今だに評価を上げ続けているのか?この記事では


  • とにかく音の良いソフトシンセを探しているという方
  • 「Diva、興味はあるけど必要あるのかな?」と考えている方
  • 「評価がわるくないのなら一応話は聞いておこう」という方

の為に、フラットな視点で Diva を使ってみた率直な感想を述べてみたいと思います。

※ この記事は約10分で読むことが出来ます。


参考記事 :ソフトシンセのプリセットチェック&カスタマイズを必ずすべき理由

Diva のコンセプト

開発の契機

Diva の開発は、ひとつまえのラインナップ Zebra2を高く評価した作曲家 Hans Zimmer 氏から「アナログテイストを追求せよ」という要望とともにmini moog を送り付けられたというイベントに端を発しています。

これに触発された開発責任者 Urs Heckmann 氏が70~90年代の名機と言われるアナログシンセを買いあさり、それらをベースに研究開発して生み出されたのが Diva です。

外部リンク:u-he CEO / Urs Heckmann氏 Interview

アナログシンセ・エッセンスの集合体

Diva の機能面での最大の特徴は、本機開発のベースとなったハードウェアシンセをエミュレートしたモジュールを、自由に組み合わせることが出来る点です。

モジューパネルを差し替えて好みのコンビネーションで活用できる

オシレーター・ハイパスフィルター・ローパスフィルター・エンベロープ の4回路にそれぞれ4-5種類のモジュールから一つを選んでアサインします。

モジュールは気軽にぽんぽん切り替えてテストできるので、パラメータの調節にくわえてコンビネーションによるサウンドの変化も音作りの重要な要素となってきます。

各モジュールはサウンドはもちろん GUI もエミュレート元のハードをベースにしているので、ハードウェアシンセに造詣の深い方であれば、ビジュアルからある程度出音がイメージ出来るのではないでしょうか。

ちなみにベースとなっているハードウェアのラインナップはおおよそ以下の通り。

以下はAB比較ブラインドテストの動画です。どちらが Diva でどちらが実機でしょうか?(答えは本記事末尾)

Oberheim OB8 vs u-he Diva – Song Test

Diva のサウンド傾向をそこそこ網羅した動画です。

U-he Diva Virtual Analog Synthesizer – バーチャルアナログシンセ

Diva の使用感

ここでは実際に Diva を使ってみた率直な感想を述べます。

ファット & ハイファイ

Diva ユーザーの多くが口をそろえて言うように出音はとてもファットで、市場に出ているソフトシンセではトップクラスかと思います。開発コンセプトの通り、ハードシンセと比較してもなんら引け目のないサウンドです。

誰もが認めるファットなサウンド

この野太いサウンドの秘密は神経質ともいえるくらいに細かくセットできるデチューンにあるようで、詳細は以下の動画【42:00~】で詳しく語られています。(やるかどうかは別として)ここまで念入りにデチューン可能なソフトシンセは他に見た記憶がありません。 

Yasu: Diva [u-he] の使い方をザックリ見ていく

また Diva はファットにくわえて、かなりハイファイで高級感・透明感のあるサウンドでもあります。アグレッシブなサウンドを指向してもその艶はキープされるので、音質を顧みずさまざまな実験をすることが出来るでしょう。

 

オシレーターとローパスが音色作成の要

音色作成の核になるのはオシレーターで、計5種類。全部キャラが異なっていて、発音回路もバリエーションがあります。Diva に関する他のネット情報でも良く言われるように、ひとつのソフトシンセに複数のシンセが入っているような感覚はあながち的外れでもないです。(同時には使えませんが・・)

その中でも個人的にお気に入りが「DCO」。1オシレーターながらDiva でもっとも過激な音がつくれるオシレーターです。

1オシレータの DCO だが、実質3オシレーター+1ノイズオシレーターとして使える

選べる波形が決まっているのであまり迷わずに済むということと、組み合わせ次第で手軽に野太いエレクトロサウンドが得られるので、エディットが楽しくなります。(やや昔の Zedd あるいは Deadmau5 風のエレクトロとか)

これをさらに後に続くローパスで「ギュギュッ」と丸めつつ濃密なサウンドに仕上げていきます。このように Diva の基本的な音色エディットは、オシレーターとローパスフィルターが中心と考えてとりあえず差し支えありません。

ちなみにローパスフィルターはオシレーターに次いで倍音の状態に影響します。時々モジュールを切り替えて変化をチェックすると良いでしょう。

ローパスモジュールによって出音の倍音状態がかなり変わる

プラグインエフェクトとの相性

内蔵エフェクトに関して下でも触れていますが、Diva には EQ・ダイナミクス・サチュレーション系のエフェクトがありません。必然これらは外部プラグインに頼る訳ですが、濃密な倍音のためかこれらの倍音増強系のエフェクトのノリがけっこう良いです。

ソフトシンセのミッドやハイを、EQでオーバーに突いたり、過激なサチュレーションをかけたりすると、エグみのあるサウンドになったりバランスを欠いてパンチの出すぎる音になることがありますが、ふしぎと Diva にはそれがありません。

極端な倍音増強にも音が乱れないのは見事

かなりムチャなブーストをしても「均整の取れた」状態のまま音に力強いハリを出すことが出来ます(程度はありますが)このあたり他のソフトシンセより頭一つ抜けたサウンドの安定感を Diva から感じることができます。

外部のプラグインもセットで同時にエディットすることで、音作りのバリエーションが一段と広がるでしょう。

アタック感について

上段がボリュームで下段がフィルター

いちおう上の画像のように、ENV1(ボリュームエンベロープ)のディケイを短く、サステインレベルをやや低めにすることで「ばちっ」としたアタック感を出すことが出来ますが、Diva はふつうに使っている分には自然にアタック感が出るシンセでは無いようです。

この辺はプラグインでサポートが必要そうですね。

内蔵エフェクト

音は上質な内蔵エフェクト

エフェクトは計5種類で必須と感じるのは Chorus でしょうか。Diva には width 関連のパラメーターがほとんど無いので、ナチュラルに音を広げる際に重宝します。

品質は悪くないので気分に応じて使い分けるといいでしょう。なお、ディレイはセンター/L/Rで個別にディレイタイムをセットする独自仕様になっています。

LFO・アルペジエイター

いたってシンプルなアルペジエイター

LFO はモジュレーションソースとして様々なルーティングができるのでしょうが、私個人はあまり使った記憶がなく印象が薄いです。アルペジエイターもありますが、出来ることが少ないのでそこまで期待しないほうが良いかも。

プリセットブラウザ

プリセットブラウザは、8つの指定分類フォルダ、属性タグ機能、検索履歴機能、junkプリセット機能など、なかなか充実した仕様となっています。

興味深いのは直接「junk」指定して視界から不要なプリセットを消してくれる機能でしょうか。記憶する限りダイレクトに要らないプリセットを見せなくする機能を見たのは Diva が初めてです。

イニシャライズデータ

イニシャライズデータは「8 TEMPLATES」にある

プリセットをもとに音色作成も良いですが、初期状態から気のむくままエディットしても分厚いサウンドを作ることが可能です。初期化にはプリセットブラウザにあるイニシャライズ用データ(上の画像)を使うといいでしょう。

公式マニュアル・チュートリアル

ざっくりと Diva の挙動に慣れてから、マニュアルを隣に細かい機能の吟味に移るのが効率的と言えます。特にオシレーター各モジュールの特性は一度でいので目を通しておくことをおすすめいたします。

外部リンク:Diva ユーザーマニュアル

また以下メーカーサイトでも丁寧なチュートリアル動画がありますので、ピンポイントな音色作成のモデルとして参照ください。

外部リンク:Diva チュートリアル集

正統派のシンセサイザー

Diva を使っていて特に感じるのが、どこまで行ってもオーソドックスな「正統派のシンセサイザー」ということで、上記で挙げているハードシンセのサウンドをさらに突き詰めたシンセという表現が似つかわしいと思います。

なのでそこにプラスアルファの新たな革新的アイデアが注入されている、という訳ではないため、良くも悪くも奇抜なサウンドや、今までに聞いたことのない未知のサウンドを生み出すことはあまり得意でないようにも感じます。

このあたりを評価すべき点と取るか、物足りない点と取るかは個人の制作スタイルに依存するので、そういう意味ではやや使い手を選ぶソフトシンセなのかな、という気はします。

Diva の良くない点

ここでは Diva の良くない点をご説明いたします。

時間軸に沿った動きが少ない

Serum のような LFO 波形の描画などはできない

Diva は Serum の LFO波形描画に代表されるような、時間軸にそった複雑な音量・音色変化には対応していないため、そのようなサウンドを求める人には単純すぎると感じるかもしれません。(そもそもコンセプト上埒外なのは明白ですが・・・)

キーをトリガーしたらエンベロープに沿った変化しかしないため(LFOを考慮しない)、ジャンルでいえば EDM の特にダブステップ・フューチャーベース等には不向きであるといえます。

付け加えれば、Diva はアナログシンセのエミュレーションなので、コンセプトから逸脱するウェーブテーブルシンセやFMシンセなどの音はそもそも対象外です。

標準プリセットは使いどころが分からないものが多い

標準で多数のプリセットが付属しているが・・・

Diva には標準でかなりたくさんのプリセットが付いてきますが、正直言ってどこで使うのか良くわからないものもたくさんあります。

なので時間が許せばザっとひととおりチェックしてみて、要らないものを片っ端から「junk」送りにし、ピンと来たものだけエディットして別のフォルダ等によけておくといいでしょう。(「ふにゃふにゃ」したコシのない音が多いからそう感じるのかもしれませんが・・・)

CPU負荷に関して

当方のシステム環境では

Diva の CPUの負荷はやたらと高い、というのはネット上でも良く目にします。一応今年(2020年)頭のバージョンアップで4割程度の負荷削減がなされたようで、コレのおかげもあるのか、私のマシンスペックではCPUの負荷に関しては正直そこまで気になりません。

当方のマシンスペックと作業時の負荷は以下の通り。

当方のマシンスペック / この程度だと処理にあまり問題は無いようだ

バージョンアップの恩恵かメーター1/4を超えることはない

個人的な感覚として、Divaの負荷が重くなるのは「Stack(ユニゾン数)」の数値が高いときや同時発音数が多いときで、それ以外で不意にCPU負荷が元で処理がスタックするようなことは最近はありません。

CPU負荷低減対策

ただこれはあくまで私の環境での話なので、もし噂通りCPU負荷に苦しんでおられるようであれば、以下の対策を施して実作業に影響が出ないようにしましょう。


  • Multicore ボタンをオンにする
  • Accuracy を「Draft」or「Fast」にする
  • Stack(ユニゾン数)を下げる
  • ENV1でリリースを短くする
  • 和音数を減らす
  • DAWのフリーズ機能を使う
  • バウンスしてオーディオと差し替える

この3つは一番最初にチェックしよう

特に重要なのは最初の3つで、まず CPUのコア分散処理のための「Multicore」ボタンは常時オンにしておきましょう。また 「Accuracy」 は下にいくほど負荷が重くサウンドがハイファイになるので、作業プロセスに応じて切り替える必要があります(わずかながら音質に違いはあるようでチェックは必要です)。また「Stack」は必要がないかぎり1or2でキープしておけば当座問題ないかと思います。

オーディオにバウンスする際は、「Accuracy」右隣の「Offline Acc」を best にして試してみましょう。バウンスの時だけ「Accuracy」を divine にしてくれていると推測されるので、サウンドの質感に悪影響が無ければ試す価値があります。

ユーザーの評価

ネット上のユーザー評価はあまり見当たりませんでしたので、やむを得ず同一ページから2つピックアップしました。評価は上々のようです。

This is a monster of a synth for creating and replicating “the analog sound” of classic synths like the MiniMoog and Oberheim. Can be very CPU intensive but since I bounce all my tracks down to audio for mixing, that hasn’t been much of a problem. Well worth the money and a must have VST!

「MiniMoog や Oberheim 等のビンテージアナログシンセのサウンドを(忠実に)模した、怪物のごときソフトシンセだよ。かなりCPU負荷の高い機材で、そのためにミックス時に全トラックオーディオバウンスしたけれど、自分にはそれは特に問題とはならなかったな。購入する価値のあるマストなVSTと言えるね!」

https://www.sweetwater.com/store/detail/Diva–u-he-diva-virtual-analog-synth-plug-in

I am an owner of most of the most popular soft synths out there (Serum, all the NI Komplete synths, Predator 2, Synthmaster, Omnisphere, and many others). And I can honestly say that none of them touch the tone that Diva is capaple of producing. It truly is a CPU hog, but so the hell what! Freeze or bounce the track if you have to, but this is rich, dense, buttery tone that satisfies that deep-gut need you have for hefty tone. I love those other soft synths too, but Diva is just special and in a class by herself.

「自分は市場に出ているほとんどのソフトシンセ(Serum、NI Kompleteの全シンセ、Predator2、Synthmaster、Omnisphere その他多数)を所有しているけど、正直言ってそのどれ一つとして Divaの出音に比肩するものは無いよ。ホントにCPU食らいだけど、でもそれが何だってんだい?必要ならフリーズしたりオーディオにバウンスすればいいじゃないか。とはいえタフなサウンドをのぞむ腹の底からの欲求を満たしてくれる、リッチで、濃密で、濃厚な出音だ。ほかのソフトシンセも大好きだが、Diva は特別で比類がないんだ。」 

 

https://www.sweetwater.com/store/detail/Diva–u-he-diva-virtual-analog-synth-plug-in

u-he Diva デモ版リンク

無料デモ

u-he Diva の無料デモ版リンクはこちらになります。画像の赤枠部分からダウンロード可能。機能制限はありませんが開始から2分経過後に不規則なノイズが発生します。

なお、今だけ、次項でデモ曲をアップしているプリセット集3つと、Diva プラグイン本体のセットで ¥23,073 (定価 ¥28,219)でご購入いただけます。

セット購入先リンク(Plug-ins boutique)

また、

  • cableguys のディストーションプラグイン「DriveShaper」
  • audiodamage のディレイプラグイン「Dubstation 2」

(併せて8,000円相当)も、無料でついてきます。

その他の購入先リンクも付記しておきます。

Soundhouse
Amazon
楽天

別売りプリセット集

u-he DIVA Transitions 128 Trance & Club Presets – Aiyn Zahev Sounds

購入先リンク

Transitions Vol.3 for DIVA (soundbank demo)

購入先リンク

まとめ

こまごまと Diva について語ってきましたが、けっこう特徴が分かりやすい機材で、ここまで読み進められた方は「自分に必要かどうか」の察しがついているのではないでしょうか。

個人的には、今は他のソフトシンセのサポート役としてピンチヒッターとして使っていますが、今後はベースないしは低めのコードサウンドの補強にもっと活用できないかなぁとその可能性を模索しているところです。

とはいえその出音は素晴らしく、世界中に根強いファンがいるのは十分納得のいく機材であるといえます。

あらためて私の Diva の結論をまとめると以下の通りです。


  • サウンドは文句なし
  • 良くも悪くもオーソドックスで正統派なシンセ
  • CPU負荷はマシン次第

興味をお持ちの方は、ぜひデモ版を試用されることをおススメいたします。

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【※ AB比較ブラインドテスト回答:A が Diva、B が実機です。】