【音楽】writer’s block(ライターズ・ブロック)に対処する10の方法

皆さんは、「writer’s block」という言葉をご存知でしょうか? 

ライターズ・ブロック◆作家が突き当たる障壁(一時的に思考力・創作力・学習力・作文力などをなくすこと)

https://eow.alc.co.jp/search?q=writer%27s+block

楽曲制作に携わる方のみならず、作家・シナリオライター等の、創作に関わるクリエイターの方々であれば、誰でも一度は経験したことがあるのでは無いでしょうか。

日本語で「創作上の行き詰まり」などと訳されることの多い言葉で、一時期の行き詰まりから、長期に亘るスランプまで、幅広い意味を含んだ言葉のようです。

この記事では、主として楽曲制作者が陥るwriter’s blockに対処する方法をご紹介いたします。

※ この記事は約5分で読むことが出来ます。

writer’s blockとはどういう状態か

1、疲労

長時間作業をすると、脳が刺激に慣れてしまい、モニターから流れる音の変化に鈍感になってしまいます。これは本人の能力とは無関係に、人間であれば必ず起きる生理的現象です。

疲労が蓄積すると、そうでない時よりも、間違った音の判断をする可能性が高く、結果的に曲の品質が悪くなることが多いでしょう。

2、心理的飽和

端的に言えば、“飽きて” しまった状態のことです。

一つのプロジェクトを長期に亘って作業を続けた結果、最初は良作が出来そうだと興奮しつつ作業に臨んでいたが、ピリオドが打てずにだらだら長引いてしまい、いつしか音の変化の良しあしが判断できなくなり、ついには制作への興味を失ってしまった・・・例えばそういった状態です。

3、基礎の欠落

音楽を作るには、多くの基礎的な技術が関係してきます。それは一定期間繰り返し訓練しないと、なかなか脳の記憶に定着しないことが多いようです。

鍵盤の演奏能力・音楽理論の理解・音を聞き取って解析する能力・サウンドデザインの能力・ミキシングの能力・DAWの操作 等々。どれかが欠けた状態だと、それがボトルネックになり、一定以上曲の品質が上がらない、スランプの様な状態になる可能性があります。

4、インプットの欠落

単に曲を作り続ければ、名案が勝手に浮かんでくるという訳でも無いようです。

そこで必要なのは他の曲を聴き、そこからアイデア借りることで、新しい着想を得ることですが、ただ漫然と聞き流すだけでは、難しいかもしれません。

5、単なる体調不良

体調が悪いのをおして、音楽制作をするのはお勧めできません。

6、経験不足

自分が良く知らない分野、経験が不足していると思われる分野に挑戦すると、ノウハウや引き出しが無い為、作業が行き詰ってしまうことが多々あります。

writer’s block の11の対応策

1、コンディションに注意する

自分のコンディションを把握することは、とても大切です。

コンディションが下がり、集中力が低下している状態で作業をしても、良い結果は得られないでしょう。また、集中力は血糖値にも大きく影響をうけますので、空腹をおして作業を続けるのも要注意です。

集中できている時と、それが難しい時を自覚するようにし、メリハリある楽曲制作をしましょう。 以下の様な状態に気付いたら、作業を中断ないしは切り上げるようにした方が良いかも知れません。

  • 空腹
  • のどが渇いている
  • 眠たい/ぼーっとしている
  • 同じ操作、例えばEQばかり操作している等
  • 体がこわばっている
  • 他のことに気がとられがち
  • 長時間座りっぱなし

2、期限を設ける

楽曲制作はその気になればいくらでも試行錯誤出来るため、締め切りの無い状態で音楽制作をすると、いつまでたっても楽曲が完成しないことになりかねません。

自分の力量から適正だと思う期間を割りだし、締め切りを設定してみましょう。 納期がタイトな尺の短い曲は2~3日、多少こだわった曲は1~2週間というふうに、自分で決めてしまって良いと思います。

実際に試してみて難しかった場合、少し多めの期間をとり、再度トライしてみましょう。自分の今の力量に適した期間が分かれば、少しずつそれを短くしてくよう工夫していけば大丈夫です。

重要なのは、一定の期間内で楽曲を作り抜くことです。

3、基礎を固める

一瞬話題がそれますが、楽曲制作時に使われる脳のメモリの容量は、個々人でそこまで差は無いようです。 しかしながら一例として、上級者が容量の3割でアレンジを行い、残り7割の余力で他の作業を行うのに対し、 経験の浅い人は容量の7割でアレンジを行い、残り3割で他のことを何とかこなさざるを得ない。

このように上級者とそうでないものの違いは、脳のメモリの効率の違いにあることがとても多いです。

音楽制作の基礎を固めるというのは、このメモリの効率を上げていくことに他なりません。ここでいう基礎とは、一応

  • 楽器演奏
  • 音楽理論
  • 聴き取り
  • サウンドデザイン
  • ミックス
  • DAW操作

と考えます。サウンドデザインやミックスまでを含むかは、議論が分かれますが、今日の音楽制作ではそこまでを考慮した方が良いでしょう。

ここで挙げている基礎の中で、まだ習熟が足らないと自覚があるのであれば、そこを集中的に訓練することで、一気に視界が開けてくる可能性があります。

少ない脳のメモリ容量で多くのことがこなせるようになれば、間違いなく楽曲の質が向上するはずです。

4、コピーをする

今までやったことの無いジャンルにトライする際に、幾つかの関連する曲のコピーをすることが有効な場合があります。難しいですが、出来るだけその曲に忠実に同じになるように挑戦しましょう。

忠実なコピーにトライすることで、そのジャンルの流儀、共通する手法等を理解することが出来るでしょう。

ただ漫然と曲を聞いているだけでは、ピントが曖昧なままでしかありませんので、一度目指す方向に沿った曲をいくつかピックアップし、忠実にコピーをしてみることで、より具体的にそのジャンルの特徴と押さえるべき要点が浮かび上がるのではないかと思います。

5、毎日継続する

何か音楽の訓練をしようと決めたら、出来る限り毎日継続するように心がけましょう。 毎日継続することで、やがてそれが自分にとってごく自然なこととなり、楽曲制作時にそこまで頭を煩わせなくてもこなせるようになります。

重要なことは、こなすメニューの負担が大きくなりすぎないよう、毎日消化するのに適切な分量にとどめておくということです。

私は音楽の耳コピを毎日行っていますが、おおよそ一回の作業を15~30分程度で終わらせる程度で詳細に聴き取るようにしています。この程度であれば毎日の習慣にするのは難しくないので、十分継続できる分量だと言えます。

何を訓練するにしても、是非一度決めた音楽習慣を、毎日継続するようにして見て下さい。それにより今まで苦しんでいたことが、スムーズに進むようになるかもしれません。

6、記録する

自分のことは、思ったよりも客観的に見れないものです。 楽曲制作でスランプになった場合、何か悪い行動パターンに陥ってしまっているかもしれません。

その場合日々の作業の記録を付けていると、どこで行き詰っているのか、あるいは自分にどういったクセ・傾向があるのかに気づくきっかけになります。

記録する内容は、

  • 日付
  • 作業内容/所要時間/時刻
  • 気づいたこと
  • 反省点

等、自分で良いように決めてしまって良いでしょう。 あまり凝った内容にすると、毎日記録をとるのが億劫になるので、簡潔に数行程度で十分かと思います 。 作業で行き詰ってしまったら、記録した内容をまとめて見返し、

  • 毎回難航する作業 / 多くの時間がとられる作業
  • 上手くいっていた時と、上手くいっていない時の作業の違い
  • 自分と他者との作業アプローチの違い

等をくみ取ることで、意識してその点を改善したり、今までと違ったアプローチを取るきっかけになります。

自分のクセや傾向を知り、それに対して今までと異なった対応をすることで、スランプを抜け出る可能性が高くなるでしょう。

7、日をあける

連日同じ曲を作業し続けて埒が明かなくなった場合、数日時間をあけたほうがいいかもしれません。客観的にその曲が聞けなくなっている可能性があるため、一度その曲のことを忘れてしまうためです。

数日後、リフレッシュした耳で楽曲を聞き直すと、驚くほどその曲に欠けている要素がすぐに理解できます。

8、複数の曲を同時に作る

ある曲を制作していてwriter’s blockに陥ってしまうと、それ以降の作業ペースが著しく落ちてしまい多くの時間をロスしてしまうことがあります。 そういった状況をいち早く察知すれば、一旦その曲を中断し別の曲の作業を始めてみると良いかも知れません。

新たに着手する曲をリフレッシュした耳でチェックすることが出来るし、何より作業を止めなくても良いので、大切な時間のロスを最小限に抑えることができます。

それ以外にも、常に楽曲制作への意欲を維持し続けることが出来るし、別の曲で新しく学んだ手法を、元の曲にも活用できるといったメリットもあるでしょう。

9、単純に考える

楽曲制作に没入しすぎてしまうと、知らず知らずに物事を難しく考えすぎていることがあります。本来ならちょっとしたことを大きくとらえ過ぎたりなどです。例えば、特定のパートやエフェクトを必要以上に重要視したりするのはその典型です。

あるパートやエフェクトをミュートして音に大きな変化が無い場合、それは不要なものと割り切って、もっと別の、曲が大きく改善されるであろう要素に目を向けるようにしましょう。

そうすることで作業のフットワークが軽くなり、気軽にトライアンドエラーが出来るようになります。 物事をシンプルに考えることで、極端に偏らず、身軽でバランスのとれた制作スタイルに切り替えることが出来るでしょう。

10、機材を刷新する

音楽スタイルには、それに相応した機材やソフトを使わないと対応できないケースが珍しくないということです。特に今日の最先端の音楽スタイルを指向する場合は、その傾向が顕著に表れます。

数年前の型落ちの機材を使っている場合など、プラグイン等の互換性や安定動作の問題がありますが、意識してどんどん新しいものに刷新していくことで、そこから今までにないインスピレーションを得ることが出来るかもしれません。

まとめ

以上、この記事では writer’s block についてその対処法をご紹介させて頂きました。人それぞれwriter’s blockに陥っている理由は千差万別で、これをすれば解決できるというオールマイティな対処法は存在しません。

重要なのは、音楽制作でスランプに陥った際に、自分の音楽的感性の無さに悩んだりするのではなく、具体的に何が不足しているのかを冷静に把握し、そこから導かれた解決策にひとつずつ着手していくという、具体的なアプローチを取ることです。

その際にここでご紹介した内容が、スランプ脱出へのヒントになれば幸いです。