リバーブの使い方が一段階レベルアップする8つのコツ(プロ直伝)

  • 2020年2月27日
  • 2021年11月27日
  • 制作

リバーブは音楽制作に欠かせないものですが、意外と適切なセッティングのむつかしい、ある意味つかみどころのないエフェクトでもあります。この記事では

  • リバーブがどうもしっくりこない
  • 音がごちゃごちゃになってしまう
  • プリセットで適当にすませてしまっている

そういった状況で試していただきたいリバーブのコツを8つピックアップしました。最後には丁寧な調整が必要になるかもしれませんが、どこにリバーブの邪魔をする要因がかくれているのか、そういったものに気が付くひとつのきっかけになるかもしれません。

※ この記事は、3分で読めます。

① リバーブタイムを短くする

常にリバーブがなっている状態だと、残響の切れ目が聞こえず、奥行きが感じづらい状態になりやすいです。一概に言えませんが、BPM125前後だとリバーブタイムは 3.0s 上限が妥当ではないでしょうか。

リバーブ感を最も出したいリードには 3.0~4.0s 、バッキングには 0.5~2.0s。プリセットでは 3.0s 以上のものも多いですので、このBPM周辺の楽曲だと長くなりすぎる傾向にあります。BPMが上がるにつれてこの数値は小さく、BPMが下がるにつれてこの数値は大きくなりますので、適宜調節はひつようです。

わざと長いリバーブタイムにして、ウェット音を長く引き伸ばしたい場合はこの限りではありません。 

プラグインによっては、リバーブタイムの長短で、残響の印象と挙動がおおきく変化することがありますので、ていねいな調整をこころがけましょう。

② 特定のトラックのハイをカットする

別のトラックが邪魔をして、聞かせたいリバーブが埋もれてしまうことがあります。ハットやストリングス、ギターなど、ハイエンドまで音が達するパートをミュートして、リバーブの邪魔になっていないかチェックしてみましょう。

リバーブとバッティングしているトラックが見つかったらEQでハイカットしてみる、もしソフトシンセであれば、フィルターエンベロープを操作して、若干暗めの音にしてみるとリバーブのヌケが良くなる可能性があります。

③ 原音のハイをカットする

上の②とは違って、原音自体が邪魔をしてリバーブ感を損ねる、ということがあります。それがソフトシンセであれば、ぜひフィルターエンベロープのサステインをこころもち下げてみてください。EQでハイカットするのもいいですし、原音のヌケが悪くなるなら、ダイナミックEQのハイシェルフで -3.0~6.0dB 程度リダクションさせるのも効果的です。

④ ノートレングスを短くする

音と音の間に隙間が無いために、リバーブ感を感じられずに埋もれてしまう、ということがあります。

試しにそのトラックのmidiのノートレングスを今よりも短くしてみて下さい。それでもしリバーブがきれいに響いた場合、音と音の間にリバーブを響かせるための隙間が無かったということになります。あとはその状態でリバーブを調整し、不自然でない程度にノートレングスを少し戻しましょう。

ソフトシンセなら、フィルター/ボリュームエンベロープのサステインを下げる、リリース、ディケイを短めにすることでも同じ効果が得られる可能性があります。

⑤ EQでハイを強調する / ローをカットする

ダイレクトな方法ですが、即効性があります。

リバーブ成分にEQでハイをブーストすると、原音に影響なくリバーブのヌケをよくすることができます。一方で、低めの帯域、例えば 500Hz以下は音が密集し、こもりやすくなるので、この帯域以下をカットすることで、ミックス全体を身軽にすっきりさせることができます。

ただし、ハイをブーストしすぎるとミックスがノイズ感の強いシャラシャラした音に、ローをカットしすぎると残響が薄いペラペラの音になってしまいますので、バランスよく調整しましょう。

⑥ センドに送る音のアタック感をおさえる

原音がアタック感のつよい、プラック系統の音に特に有効です。基本的にアタックの強調された音にリバーブをかけると、リバーブのなり始めがにごりやすい傾向にあります。

この場合、リバーブの前段に「waves trans X」などのトランジエント系のエフェクトを刺してアタックを削ると、にごった音がぐっと減り、きれいなリバーブの残響だけを聞かせることができます。やりすぎるとリバーブ自体の存在感も薄くなるので、バランスをみて調整しましょう。

トランジエント系のプラグインは、音のエンベロープ(ADSR)を調整するエフェクトです。

・Envelope Shaper (cubase デフォルト)
・Enveloper (logic デフォルト)
Transient Master (Native Instruments)
Transient Designer(SPL)

などがあります。
 

なお、以下の動画の方法でも同じ効果を得ることができます。(6:45以降参照)センド送りのボリュームをオートメーションして対応しています。

FL studio tutorial: How to use Basic Reverb | Signed by Bassjackers vol. 3

⑦ 原音トリガーでサイドチェインする

最近は様々なチュートリアルでも、この手法が説明されているのを目にするようになりました。おもにリードボーカル/リード楽器に用いられます。メリットは

  • 原音がなっているときにリバーブによるごちゃつきを防ぐ
  • 原音の区切れできれいにリバーブを響かせる

の2点にあります。

ポイントは、サイドチェイン用コンプのスレショルドを極端に深くせず、原音の裏である程度のリバーブ感を感じられる程度にとどめておくという点、原音が鳴り終わったあとで、自分が心地よいと感じるリリースタイムにするという点です。

イメージとしてはリードボーカルの音の切れ目で心地の良いスラップバック感を演出するという感覚でしょうか。もし使えるならオートゲインをオンにすると、スラップバック感がより強調されるので、試してみる価値はあります。

⑧ パノラマをコントロールする

特定のパートのリバーブだけパンのオートメーションやトレモロなどで細工することで、際立たせることができる可能性があります。

またバッキングの原音とリバーブのパンを同じ位置にふることで、中央のスペースをリード用にあけておく、という手法も試してみる価値はあるでしょう。

こういった焦点をセンターから外したリバーブ成分に対し、EQでMid / Side のMidをカットすることも有効です。

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まとめ

リバーブを上手に活用すると、楽曲全体に奥行きとスペースを感じさせることができ、ミックスを「大きく」聞かせることができます。そのためには、リバーブも通常のパートと同じように、きれいに響かせるための空間や位置を確保するという発想が大切です。

音数の多い曲では音の隙間がなく、奥行き感をそこねて平板なミックスになりがち・・。そういうことも考慮すると、リバーブのパラメーターを操作するだけでなく、どこまで音を重ねるか、音の長さはどうするか、といったアレンジ面も含めた、複眼的な視点で臨むとより効果的に奥行き感を演出することができるでしょう。