モニターコントローラー Drawmer mc2.1 レビュー~メリット・デメリット解説~

  • 2020年3月27日
  • 2020年5月29日
  • 機材

ハードウェアコンプレッサーで有名な、イギリス Drawmer のモニターコントローラー mc2.1 についてのレビュー記事になります。

モニコンを検討する場合、Mackie Bigknob や SPL 2controlは候補に挙がりますが、この Drawmer mc2.1 はあまり顧みられることがありません。そのためレビュー評価はほぼ英語ソースになってしまい、直の使用感を聞く機会はなかなかないのが実情です。

この記事では、そのDrawmer MC2.1 の詳しい説明と、実際に使ってみて感じたメリット・デメリットを率直に語っていこうと思います。

※ この記事は 約 4分で読むことができます。

スペックと外観

スペック

Drawmer公式サイト からの主なスペックは以下の通りです。

  • 超低ノイズの回路設計
  • リニア方式電源供給の低ハムノイズトランス ・ 電圧変換スイッチ搭載
  • 3系統ステレオバランス型アウトプット
  • 1系統モノラルバランス型アウトプット(モノスピーカー・サブウーハー用)
  • 全出力本体底面スイッチで各チャンネル個別にトリム調整可能
  • 過大入力防止用のタイムリレープロテクション搭載
  • Mono/LR Mute/逆相/Dim 各種モニターチェック機能搭載
  • XLR2系統およびコンボジャックXLR2系統の計4系統のバランス入力
  • RCAピンプラグ or 3.5mm ミニジャック対応 AUX
  • 音量調整可能なトークバックマイク内蔵
  • 2系統のヘッドフォンアウトプット
  • 別売り MCB 2U キットで 2U のラックマウント可能
  • 寸法 L 272mm × W 215mm × H 81mm
  • 重量 2.5kg

フロントビュー

スタイリッシュなフロントパネルに、ひじょうに多くの機能が凝縮されています。

リアビュー

スピーカー出力は、ステレオ3系統 + モノラル1系統接続できます。

使ってみて感じたメリット・デメリット

実際に数年間現場で使用して感じた、率直なメリット・デメリットについて説明していきます。

メリット

音がいい

率直にいって、出音はとてもいいです。

余計な色付けはしていないでしょうが、ほのかに温かみ・丸みをふくんだクリアで一体感のある音で、Drawmer 独自の風合いといえるものを感じます。解像度も良く、音の位置・広さ・奥行きなど適切に把握することができ、ミキシング環境には申し分ないサウンド品質といえます。

ラックマウント映えする

クールなラックマウントビュー(右は弊スタジオのmc2.1)

別売りキット(MCB 2U)を購入してラックマウントすれば、かなりスタジオ映えするようになり、平置きで使う数倍オーナーシップを満たしてくれる機材といえます。ラックマウントというよりも、ビルトインという言葉が近く、マットブラックでスタイリッシュなボディがそれを一層引き立たせます。

キットは安くはないですが、設備が許すのであれば十分検討する価値があるといえるでしょう。

ラックマウントパネル左についている標準ステレオ入力は、キット付属の配線コードでリアのミニジャック入力端子に接続することができます。外部から音をとる際はここに接続しましょう。

充実したモニタリングスイッチとIO

3ステレオin(AUX込) / 3ステレオout(+1モノラル)/ 2ヘッドフォンin というIOに、逆相・左右ミュートまで入った6つのモニタリングスイッチに加えトークバックマイクまでついているという、至れり尽くせりのスペックは、モニコンというよりも小さなコントロールセンターと呼ぶのがふさわしいかもしれません。

モニタリング環境の合理化と、拡張性の確保の2つを1度にかなえてくれる機材です。

入力セレクターは複数同時選択できるので、簡易なミキサーとしても使うことができます。

価格が比較的リーズナブル

税抜き ¥61,800(※ サウンドハウス) という価格は、モニコンとしては現実的な範ちゅうといっていいでしょう。同ランクの機材 SPL 2Control が税抜き ¥63,450(※ サウンドハウス) なので、これよりも若干安くなっています。上をみたらきりがないモニコン市場の中で、そこそこ良心的な値段設定ではないでしょうか。

ちなみに為替の影響か、海外で買うよりも少しだけ安いです。

デメリット

USBで直接コンピューター接続できない

これはつまり「MC2.1はオーディオインターフェースとしての機能はない」、という意味です。

コンピューター ➡ インターフェース ➡ mc2.1 ➡ モニタースピーカー

もっともシンプルな状態でもこの配線になり、インターフェースは別途調達する必要があります。

結構大きい

本体サイズ「L 272mm × W 215mm × H 81mm」というのは、ほぼA4用紙のサイズに匹敵する大きさです。持ち出して使うのはきびしく、デスクトップ用途だとそこそこ大きいと感じます。また想像よりも奥行きがあるため、ラックマウントせず平置きで使用される場合はスペースに注意する必要があります。

取り扱う国内代理店が存在しない

この機材のもっとも注意すべきデメリットともいえます。

自己対応不可能なトラブルが発生すると、本国イギリスにまで送らなくては原因特定はおろか、修理見積さえ取れません。また修理して手元に戻ってくるまでに最低1か月程度は見ておかないといけないので、その間代理の機材等で実務に支障をきたさないようにする必要があります。

なお、修理対応は購入したショップ経由か、自分で直接やることになります。Drawmer 代理店のティアックでも修理・取次は行ってくれないのでご注意ください。

海外の口コミ

あえて評価の悪い口コミも探してみましたが、ほぼ見当たりませんでした。

口コミ

I purchased this about 2 years ago for my desktop monitor control after considering the various Dangerous units. I am so glad I got this. After 2 years I have nothing bad to say about it. I already had a really good AD/DA converter…so I didn’t need to pay the extra for one on this unit…and it saves money. The flexibility of the inputs and outputs are great. It sits right on my desk next to me and it sounds great. It has all I need and nothing more. Thus, I don’t feel like a paid for a bunch of features I didn’t need. It’s perfect!

「いくつかのDangerous製品を検討したのち、デスクトップモニター用として、2年ほどまえに購入しました。買って良かったと思います。2年間使ってそれだけは言えます。すでに高品位のAD/DAコンバーターを所有していたため、余分な出費なくこれ一台で事足り、お金の節約になりました。入出力の柔軟性も素晴らしく、デスクトップ環境にぴったりフィットして出音もとてもいいです。必要十分なものをすべて備えていて、それゆえにたくさんの使いもしない機能に余計なお金を払わされている、という感じがありません。完璧です。」

https://www.sweetwater.com/store/detail/MC21–drawmer-mc2.1

I was immediately impressed with the design, functionality, and sonic quality of this unit. This sits on my desk to the right of my keyboard and mouse, and I no longer have to reach over to my rack to adjust the volume on my interface. The sound is crystal clear. I like the ability to check mixes in mono to see if there are phase issues, and the sub out is a great addition. For what it’s worth, I admire the fact that Drawmer manufactures this in England, as there are obvious pressures on makers to have their products built in typical low-cost labor markets.

「即座にそのデザイン、機能性、音質に感銘を受けました。作業デスクの右側に鎮座し、音量コントロールのためにインターフェースに手を伸ばす必要がなくなりました。音質はクリスタルのようなクリアさで、フェイズ問題確認のモノチェック機能がお気に入りで、サブ用の出力も素晴らしい追加機能です。機材メーカーが低コストの製品を提供するプレッシャーにさらされている中で、このような製品をイギリスで製造するというのは称賛に値すると思います。

https://www.musiciansfriend.com/pro-audio/drawmer-mc21-monitor-controller

購入方法

購入先

本製品は、サウンドハウスでのみ取り扱いがあり、取り寄せとなります。注文から配送まで、2~3週間見ておくといいでしょう。


購入先リンク


価格は ¥61,800(税抜) で、今はポイント10倍還元(6,790ポイント)中のようです。

まとめ

以上、Drawmer mc2.1 のメリット・デメリットについて解説させていただきました。

本機を使っていてしみじみ感じるのは、「エンジニアの望むものが良くわかっている」ということです。必要十分な機能を詰め込みつつ、それでいて重要なポイントは外さない、その明確なユーザー指向には感心します。

取り扱いルートが狭いというのが難点ですが、ワンランク上のモニコンを探しているという方には、その候補に本機を入れる価値は十分にあるといえます。

ぜひご検討ください。