【音楽・制作】ValhallaRoom の使い方についてくわしく解説します

  • 2020年3月10日
  • 2020年5月29日
  • 制作

今回取り上げるのは「音がいい・動作が軽い・使いやすい」三拍子そろったリバーブ系プラグインエフェクト ValhallaRoom です。

ValhallaRoom が世に出たのは2011年で、当時はやや認知度が薄かったものの、今では定番のリバーブのひとつとして多くの楽曲制作者に愛用されるまでに普及しました。

本機は幅広いシチュエーションに対応可能なリバーブですが、どちらかといえばその名の示す通り、ルーム用途に高い効果・エディットの自由度を発揮するプラグインといえるでしょう。

この記事では主要な機能説明と実際の使用感、そしていくつかの関連事項を扱いつつそのエッセンスを解説していきます。

※ 一般的なリバーブのコツを解説した下記リンクも併せてご参照ください。

ValhallaRoom の主要機能

ValhallaRoom の操作はすべてこの画面で完結するようになっており、とてもシンプルなインターフェースです。

① メインパラメーター

MIX・プリディレイ・リバーブタイム・フィルターなど、リバーブの調整に必要なパラメータはここに集まっています。特にこだわった調整をしない限りはここの操作だけで十分でしょう。右端の Depth は

  • 「Predelay(初期反射音)」
  • 「Decay(残響音)」

のミックス比率をコントロールします。ちなみに Predelay と Decay を最短の 0.0s にセットにしても音自体がなくなるわけではありません。

MIXの「MIX」の文字の部分をクリックすると、その比率で固定することができます。プリセットを探す場合などで便利です。

② Early / Late 用パラメーター

Early / Late のボタンで表示パラメーターが切り替わり、それぞれ

  • 「Early」 は 「Predelay(初期反射音)」
  • 「Late」 は 「Decay(残響音)」

の詳細設定ができます。

Early

初期反射音のパラメーターで、調整の際は Depth を浅めにするとやりやすいでしょう。各パラメーターは以下のような機能があります。

Early Size

初期反射音のサイズと立ち上がりに影響し、値を大きくしていくと、ゲートリバーブのような効果になります。100msを超えたあたりからアタック感が消えていき、300msから初期反射音というよりもほぼ残響に近くなります。

Early Cross

初期反射音のステレオイメージをコントロールします。値を大きくするにつれ自然なコーラス感が増していきます。

Mod Rate / Mod Depth

ワンセットのパラメータでモジュレーションの周期と深さに影響します。

Early Send

初期反射音を残響音に送る比率を決めます。残響音がこころもち広くなり、目立つようになります。

Diffusion

初期反射音の密度を調節します。

「Early Size」 を300ms以上にすると、残響とは違った独特のルーム感を得ることができます。調整時にお試しください。

Late

残響音のパラメーターですが、初期反射音ほど音への影響は大きくないという印象です。以下各パラメーターの機能を説明いたします。

Late Size

リバーブのルームサイズに影響します。

Late Cross

リバーブのステレオイメージを調整します。初期状態で最大です。

Mod Rate / Mod Depth

ワンセットのパラメータです。残響のモジュレーションの周期と深さに影響します。

Bass Mult / Xover & High Mult / Xover

残響成分をクロスオーバーで三等分し、それぞれの残響時間の比率を調整します。

③ Reverb Mode

「Reverb Mode」 は12種類の個性あるモードが搭載されており、パラメーターのレスポンス具合でかなり個体差がありますが、それぞれの特徴ついて熟知する必要はあまりなく、基本的には聞いた感じで判断して OK です。

以下に各モードの簡易な説明を載せておきますので、適宜ご参照ください。

Large Room空間的に広く、やや高い密度の初期反射でデチューンがかかっている
Medium Room希薄な密度の初期反射でランダムなモジュレーション
Bright Room明るいトーナリティで深いモジュレーション。立ち上がりはスロー
Large Chamber高い密度の初期反射とスムースな残響。デチューンがかったモジュレーション
Dark Roomローファイでノイジーかつランダムなモジュレーションでトーンは暗め
Dark Chamberローファイで高い密度の初期反射。デチューンがかったモジュレーションでトーンは暗め。
Dark Spaceローファイで希薄な密度の初期反射。デチューンがかったモジュレーションでトーンは暗め
Nostromoローファイで希薄な密度と立ち上がりの初期反射。ランダムなモジュレーションでトーンは暗め
Narcissusローファイで希薄な密度の初期反射。ランダムなモジュレーションでトーンは暗め。CPU負荷が軽い
Sulacoローファイで豊かなモジュレーション。安定したステレオイメージでトーンは暗め
LV-426ローファイでとてもスローなリバーブの立ち上がり。豊かなモジュレーションでトーンは暗め
Dense Roomローファイで高い密度の初期反射。デチューンがかったモジュレーションでトーンはやや明るめ

実際の使用感

初期反射は広く残響はセンター指向

初期反射音は粒立ちが良く、左右に心地よく広がってくれる印象である一方、残響音はややセンター指向です。似たプラグインエフェクトの Fabfilter PRO-R と比較するとよりその印象が顕著です。ただ、包み込むようなステレオワイドでないことは別に悪いことではありません。

使い方の手順

使い方はいたってシンプルで

プリセット選択 ➡ メインメニューエディット ➡ 必要があれば Early / Late エディット

基本的になれないうちは「Reverb Mode」はプリセット指定のままでOKです。エディット調整した後で試しに他のモードも覗いてみる程度でいいでしょう。

どのプリセットを試しても、メインメニューでエディットしてもしっくりこない場合、Early / Late で大きく改善することはあまりないので、いさぎよく他のリバーブを試したほうがいいかもしれません。

ルーム用途に強みがある

アタック感のあるプラック・ベル・ブリップ系のパート、あるいはパーカッシブなパートにとても映えるリバーブといえます。とくに初期反射音の調整は、耳にとても心地よく、いつまでも調整していたくなります。

聞いた感じは ValhallaRoom の名の通り、ルーム系の用途につよいリバーブという印象です。もちろんルーム以外の用途でも十分活躍してくれます。

深く手を加えるなら後段にエフェクトを

エディット後にリバーブ音を前に出したり、ヌケをよくしたり、広げたりするなら、Filter や Early / Late の調整に時間を使うよりも、ValhallaRoom 後段に別プラグインをインサートするのが近道です。

前面に出すならコンプ・リミッター・ダイナミックEQ。ヌケをよくするならEQ。広げるならトレモロ・MS・ディレイ。ノイズ感で空間を埋めたい場合はビットクラッシャーがおすすめです。

その他

Tips

ValhallaRoom 関連のドキュメントで、開発者みずからがマニアックな Tips を公開していましたので、ここにリンクを載せておきます。Tips のセッティングとコピペ用のコードが参照できます。

オートメーションの活用例

How to Use | Produce Reverb – Disco Fries – GHOST PRODOUCHERS

最後に、プリディレイを使った ValhallaRoom の面白いオートメーションの活用動画をご紹介いたします。リバーブのセンド量とハイパスフィルターも同時にオートメーションしてテンションを最大まで高めています。

まとめ

さて、ValhallaRoom について見てきましたが、ユーザー目線で一番助かるのは、やはり動作が軽いのとシンプルなことです。またその一方で細かくエディットしごたえもあるし、様々なソースにもフィットする、かなりフットワークの軽いリバーブだといえます。前後に挿すエフェクトもふくめていろいろ実験してみましょう。

また本文中では記載していませんが、役割のことなる ValhallaRoom を複数種類インサーション / センドで使うのも効果的です。

ぜひお試しください。