
以前であればパック単位でしか売買されていませんでしたが、こちらは1音単位で調達可能というわけです。総数が膨大なので、うまく利用すればネタ不足に困ることがなくなるでしょう。
ダウンロードしたサンプル・プリセットはsplice上のアカウントにストックされていき、ネットにつながる環境であればどこからでも使用することができます。またサブスクリプションを休止しても、このクラウドサービスは継続して利用可能です。
この記事では
- Splice のサービス利用料
- Splice のメリット・デメリット
- Splice ユーザーの口コミ・評価
- Splice のサンプルネタを活用して作られた曲
- 結論
の順にご説明いたします。
参考:Splice Sounds の使い方を詳しく解説します(休止・解約方法も!)
Splice のサービス利用料
splice のサービス利用料は以下のようになっています。

月払い(日本円は現在レートで自動換算)
【クレジット】 | 【月額(USドル)】 | 【月額(日本円)】 |
100 credit | 7.99USドル | 約 852 円 |
300 credit | 13.99USドル | 約 1,491 円 |
600 credit | 21.99USドル | 約 2,344 円 |
1000 credit | 29.99 USドル | 約 3,197 円 |
サービスに必要なクレジット数
【サンプル】 | 【プリセット】 | 【MIDI】 |
1クレジット消費 | 0 or 3クレジット消費 | 3クレジット消費 |
Spliceのメリット・デメリット
私が実際にSpliceを使ってみて気が付いたメリット・デメリット・その他のポイントについてご説明いたします。
メリット
必要な音だけをピックアップできる
Spliceを使う目的の1つがこれだと思います。既存のサンプルパック販売だと、必要でもない音もまるっとひっくるめて1タイトル購入しないといけなかったのが、Spliceでは必要とする音だけを購入できるので、ユーザーとしてはとてもありがたいサービスといえるでしょう。
サンプル総数が200万以上

サンプルの総数がひじょうに多いので、マニアックなサンプルネタでない限りはネタが尽きることはないでしょう。Spliceはインスピレーションの宝庫といえます。
自分で作れない音素材が調達できる
「ソフトシンセで作るのがむつかしい」「ロンプラーでもネタ数が多くない」「打ち込みでライブフィールが出せない」など、自前で作るのがむつかしい音を調達するのにSpliceは役立ちます。例えば
- ボーカル/ラップ系素材
- 生ギター素材
- 生サックス等のブラス系素材
- EDMのファットスタッブ系素材
- 生フルート等のウィンド系素材
など、これらのサンプルは曲の雰囲気をオーガニックにしてくれるので、隙あらばどの楽曲にも投入したい要素だといえるでしょう。
プリセット / MIDIデータの購入もできる

Spliceでは、クレジットを使ってソフトシンセのプリセットないしはMIDIデータも購入することができます。こちらもサンプル素材と合わせて活用すればひじょうに強い武器になるでしょう。プリセットは現在「Serum」「Sylenth1」「Massive」「Spire」のみ取り扱いがあります。なお、耳コピの得意な方はMIDIデータを購入する意義はあまりないかもしれません。
自分の保有するサンプルの検索・管理もできる
自分が過去に購入したサンプルパックや、作りためたサンプルネタを、splice 上で検索・管理できる機能です。一音一音聞いてフォルダ分け等するのはとても骨が折れるので、放置していることも多いかもしれません。この機能を使えば、そういった埋もれてしまった遊休資産を活用することができます。もちろんクレジットを消費することもありません。
デメリット
サンプルネタのクオリティがまちまち
沢山あるサンプルも、曲中で本当に使えるかどうかはDAWに貼って確認しないとわからない部分があります。いくつも試しているうちに、かなりのクレジットを無駄打ちで浪費してしまうこともあります。私の経験上、サンプルネタが曲中でばっちりはまる確率は、あまり高くないということはあらかじめ認識しておいたほうがいいかもしれません。
また、使いやすさを配慮してあるサンプルと、そうでないものがあり、注意が必要です。特に
- 和音
- 複数パートが混ざっているもの
- エフェクトが強すぎるもの
は要注意です。使い道と加工の余地が少ないのでこういったサンプルは避けるのが無難といえます。
サービス利用中のクレジット上乗せ

サブスクリプションは2か月限定で一時休止が可能ですが、その間、クレジットが未消化で残っていたとしてもサービスを利用できなくなります。
休止をやめて復帰すれば再度残りのクレジットを使えるわけですが、その場合また月額利用料の発生とクレジットの上積みが進んでしまいます。このようにSpliceは、自分のペースでクレジットを消化するのがむつかしい仕様のサービスになっていることに注意が必要です。
ポップス/クラブミュージック向けサービスの意味合いが強い
これは厳密にはデメリットといえるかどうかはわかりませんが、サンプルを多用するジャンル向けのサービスという意味合いが強いです。もともと既存のサンプルパック自体が EDM・Hiphop / R&B向けに作られているので、やむをえないとはいえますが。
その他のポイント
クレジット・ペイパル決済のみ
splice の月額利用料の支払いは、クレジット・ペイパルのみになります。米ドルでの支払いになります。
サンプルの再販はNG
サンプルネタは、一切加工せずに素の状態で販売することは、契約上禁じられています。Spliceのサンプルは商用であったとしてもロイヤルティ支払い無しで自由に使用できますが、それは制作中の自分の音楽コンテンツの中で使うのであれば、という条件の話です。

ユーザーの口コミ・評価
国内のユーザー・海外のユーザーの口コミ・評価の一部をご紹介いたします。おおむね良好ですが、ダメだしも散見されます。
国内ユーザーの口コミ

海外ユーザーの口コミ

私が思うに、どんな利用目的であれSpliceのアカウントは絶対にもっておいたほうがいいですね。すでに自分の好きなサンプルパックを持っていたとしても、そしてそれに愛着を持っていたとしても、どんどん自分の手持ちのライブラリーが増えて、データをアップする場所が確保できて、さらには(音楽を)学ぶことさえできる。Spliceはあなたにとってそんな場所なんです。自身の作品を作りこみ探求する、そういったたくさんの機会をあなたにもたらすでしょう。だからSpliceを無視する理由なんてどこにもありません。
https://audioassemble.com/splice-sounds-review/
「一年と少し使ってきて、1000以上のクレジットがアカウントにまだ残っています(笑)。とはいえサンプルパックまるごと購入することなしに、高品位のサンプルを調達する際には、利用する価値があるよ。」
https://www.reddit.com/r/edmproduction/comments/5vqa4v/is_splice_worth_it/
「基本となるサンプルサービスに毎月10.99ドル、そしてもう10ドルをSerumに払っています。使う価値があるサービスといえるね。「loop/shot/tempo/key」とタグでサンプルを探せるのは素晴らしいよ。加えてプリセット、そしてDeadmau5のMIDIファイルまでもあるし、これらは(音楽の作り方を)学ぶのにとって素晴らしいことだよ。」
https://www.reddit.com/r/edmproduction/comments/5vqa4v/is_splice_worth_it/
「いいアイデアだと思うけど、僕にとっていくつか欠点があるんだ。個人的にあのサブスクリプション強制モデルが嫌いだね。今では200~300のクレジットを保有しているけど、それはサブスクリプションを更新しないと使えないんだ。そんなのより自分の望むタイミングでクレジットを購入出来たらいいのにと思う。だって、僕が本当に気になるのは、「KRNE」「Medasin」それか「KSHMR」みたいなポピュラーなアーティストのキットだからなんだ。spliceはプロデューサーにとってましなサービスのうちの一つという程度だと思うよ。」
https://www.reddit.com/r/edmproduction/comments/5vqa4v/is_splice_worth_it/
Spliceを活用して作られたトラックの例
「FEEL」KENDRICK LAMAR
バッキングの pad/vocal のサンプルが、loopmastersの「Organic Future Hip Hop 」のネタを使用しています。
「Techno Prank」Dubdogz
サックスのリフと「So do you know anything about techno…」のボイスは Splice から調達したとのことです。以下の動画の10:15~で本人たち自ら説明しています。
結論
音楽制作をする人にとって、Splice はおすすめできるサービスであるといえます。ただし、デメリットにも記載しました通り、サンプルサービスを使っている限り、毎月サブスクリプションを払い、そのつど100クレジット上乗せが強制的に進む仕様になっている点に注意が必要です。Splice には最初に14日限定の無料お試し期間がついてきますので、この期間中にどのサブスクのコースにするかよく吟味しましょう。
クレジットが余ってしまった場合、残りをプリセットやMIDIデータ購入に充てる、一時休止を適宜はさみつつ無駄な上乗せを防ぐなど、賢くSplice を活用する必要があります。
最後に、このリンクから splice にアクセスしてサービス利用を開始された場合(私のご紹介という形になります)、追加で100クレジットが無料で付与されるとのことなので、ご興味をお持ちの方はここからぜひ splice を覗いてみてください。